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前はどっちだ!
 
 「上る道理もあれば下りる道理もある」ある本を読んでいて、こんな言葉が飛び込んできました。それは人生を梯子にたとえて書かれていました。おー、なんて素敵な言葉でしょう。

 大抵の人は、今よりもより良い自分になりたいと思って生きていますよね。少しでも前進したいと。“前進”は文字の通り見れば前に進むです。でも、ただただ突き進むことだけがベストなんでしょうか?
 今進んでる方向が常に正しいかどうかなんてわかりません。はじめは正しい道でも、いつのまにかそれが変わってしまった、なんていうことはけっして珍しくないと思います。だから、ときどき立ち止まって、ちょっとまわりを見渡してはどうでしょう。もし、今と違った方向が正しいと感じるのなら、たとえそれが今までとはまったく逆の方向だったとしても、その方向へ進むべきではないでしょうか。そこには「下りる道理」があるはずです。今来た道を戻るということに対して、不安や抵抗を感じる人は多いと思います。たしかに勇気がいることですよね。でも、回れ右をして進行方向が変われば、今の前はさっきまでの後ろです。そこに自分の「下りる道理」がある限り、それは正しい道なんですね。

 私の人生も、空から見たら迷路のようにずいぶん曲がりくねったものなんだろうなぁ、なんて思います。あのとき見た素敵な風景も(・・・回想中・・・)、直線距離で行かなかったからこそ見ることができたんだろうな、と思うのでした。
2000/05/27
 
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